中世の奈良饅頭を再現する

林浄因が作った饅頭とはどのようなものだったのか?

目 次
史料における饅頭
実際につくってみました
考察

史料における饅頭

T『雍州府志』(貞享元年(1684) 黒川道祐) 巻6 「土産門 上 饅頭」

U『和漢三才図会』(正徳2年(1713) 寺島良安) 巻第105 

V『守貞謾稿』(嘉永6年(1853) 喜田川守貞) 巻1 食類

史料から類推した饅頭↓

形状片団半球形
中身小豆餡漉し餡(または粒あん)を塩で味付けか
小麦粉『和漢三才図会』の記述から甘酒を加えたか  

※『守貞謾稿』巻之一 羊羹 の段に「もし砂糖を用いざるものには甘葛を用ふ」とある。江戸時代には、古代そのままの甘葛(あまづら)は存在しなかったので、他の甘味料を「甘葛」と称したものと考えられる。

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実際につくってみました

材料

【餡】 小豆250g・塩
【皮】 各条件いずれも発酵時間約2時間で行いました

作り方

【餡】⇒現在の一般的な漉し餡の作り方と同様です。今回は味付けに砂糖を用いず、塩で味を付けました
【皮】
zu3.jpg 1 粉をふるい、粉に甘酒またはぬるま湯105ccを加えて
よく捏ねる(10分〜15分程度)
zu2.jpg 2 耳たぶの固さを目安にまとめ、暖かい場所でねかせる
(2時間程度)
zu.jpg 3 生地がひとまわり大きくなったら皮を25gごと・
餡を15gごとに分ける
 (皮が薄い方が美味しく仕上がることが判明したため、
途中から餡を20〜25gにした)
zu4.jpg 4 蒸し器に入れ、強火で約10分蒸す


生地の様子

発酵後の生地の様子です。
甘酒入りは水入りのものより生地が黄色く、水(42℃)のものは柔らかく仕上がりました。
kiji.jpg
右:D中力・水(42℃)
左:E強力・水(42℃)
kiji2.jpg
右:B中力・甘酒(42℃)
左:C強力・甘酒(42℃)
kiji3.jpg
右:@中力・甘酒(20℃)
左:A強力・甘酒(20℃)


完成!!!

完成した饅頭です。
温かい方が皮がやわらかく、美味しいです。
余談ですが……余った皮でピザなどを作ると良いです。
kansei1.jpg
@中力粉・甘酒(20℃)
kansei2.jpg
A強力粉・甘酒(20℃)
kansei3.jpg
B中力粉・甘酒(42℃)
kansei4.jpg
C強力粉・甘酒(42℃)
kansei5.jpg
D中力粉・水(42℃)
kansei6.jpg
E強力粉・水(42℃)

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考察

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